2006年12月13日

ICタグシステムの導入と効果について

ICタグ利用で業務効率化

業務効率化の概要

アサヒビールはICタグを導入することによって配送情報を自動識別し、配送拠点における 仕分け作業の効率化をめざす。その概要は次のとおりです。

  1. 段ボール箱のバンドにつけたICタグをハンディー端末で読み取り配送情報を認識する
  2. 1日6時間の作業を1/5に低減する
  3. 人員の再配置によって年間1,000万円のコスト削減を目指す
  4. 今後は包装資材のコスト削減に活用する

情報システムの概要と導入の工夫

アサヒビールはICタグシステムの導入にあたり次のような工夫をしました。その概要は次のとおりです。

  1. 洋酒、焼酎、ワインなどの瓶の大きさが一定の商品3,000品目に取り扱い品目を絞り込む
  2. 中身が異なっていても、ケースが同じ大きさのビールは除外する
  3. まずは東日本向けの商材を流通させている平和島と名古屋の配送センターからパイロット的に導入
  4. 様子を見て福島等の15拠点に段階的に拡張する

情報システム導入の直接的効果

アサヒビールはICタグシステムの導入による直接的なメリットは次のとおりです。

  1. 仕分けの際にハンドヘルドターミナルでICタグを読み取り、瞬時にどの商品をどの取引先に出荷するかがわかる。
  2. このため、従来は荷物をいったん解体して、配送先別に再編成していたがその手間とコストが不要
  3. 当然ながら、包装資材も削減できる
  4. 配送荷物の仕分けも正確かつ迅速にできる

情報システム導入の投資額等

アサヒビールはICタグシステムの導入にかかる初期投資額等は次のとおりです。

  1. ICタグを設置する貨物バンドは約200本
  2. ハンディー端末は6台
  3. 端末を含めた投資額は4,000万円

システムアナリスト加藤の意見

もう少し、情報システムの詳細を知りたいところですけれど、次のような感想を持ちました。

  1. 4000万円の投資ならば5年くらいで償却ができそう
  2. アサヒビールなどの大企業にとって投資額は軽微ですむ
  3. 二度手間の排除によって作業の生産性も向上し、人材を他の付加価値の高い分野に転用できそう
  4. 包装の解体、再編にかかわる包装資材のランニングコストの削減を含めて考えれば2~3年で 投資額が回収できそう:売り上げの5%程度を包装資材と見ている
  5. パイロット的システムの導入を行い、運用状況と成果を見て他に段階的に普及するのも システム導入の常套手段
 みなさんはどのようにお考えでしょうか。



システムアナリスト教育はアイリンクコンサルタント



 出所:日経流通新聞2006年11月15日 アサヒビール「ICタグで仕分け効率化」




投稿者 kato : 11:38

2005年8月13日

2005年8月13日 M&Aと製造業の事業継承

M&Aは企業を救う?

後継者不足企業の打開手段としてのM&A

中小企業にとって、後継者不足は悩みの種だ。後継者不足を原因として 廃業や法人解散を考える企業が多いからだ。

事例に学ぶ中小企業のM&A
M&Aとは

 M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の 合併買収のことである。 記憶に新しいライブドアによるニッポン放送株買占め事件にあるように、 わが国ではマイナス印象で捉えられている。しかし、本当にM&Aはマイナス ばかりであろうか。

東大阪商工会議所のM&A仲介について

 東大阪商工会議所は2005年9月に同所内にM&A 相談窓口を設置して企業のM&Aを支援する方針という。 その理由は次のとおりである。

  • 後継者がいない企業が17.6%もある
  • そのなかで事業売却を考えている企業が28.3%もある
  • また、廃業・解散を考えている企業が26.7%ある

参考:東大阪商工会議所2005年5月調査、回答企業301社

中小企業M&A仲介のメリット

 それでは、なぜ、東大阪商工会議所はM&Aを推進 しようとしているのだろうか。その理由は次のような理由による。

  • 東大阪商工会議所管内の企業の多くが1960~70年代に創業し、世代交代を 迎えつつある
  • 同会議所管内には7000社の製造業がある
  • そのうち数百社が後継者難で廃業の危機にある。
  • 産業の発展を目的とする商工会議所にとって会員企業の廃業の看過できない
システムアナリスト加藤忠宏の考え
企業は円滑な世代交代が難しい

 企業は創業者が長期政権をもつと制度疲労を生む。このため、円滑な世代交代 が必要になる。特に昨今のように経営環境が劇的に変革するような環境下での 経営権委譲は企業の盛衰の鍵を握るといえる。

しかし、著者も多くの企業を拝見させていただくに、成功した企業ほど世代交代が 大変難しい。その理由は、①後継者の力量不足、②婿養子などの後継者台頭を創業者が 認めない、③子息が事業継承を望まず、④創業者が社長の座に固執するなどの理由である。

ものづくりの文化を継承する重要性

 わが国のものづくりの文化は世界に稀有の技術力を有している。それが、 コストを重視する大企業の中国進出によって、危機的状況に陥っている。 しかし、2004年ごろから、仕事を中国から取り返しつつある企業もある。 その理由は、①中国人に出せない品質がある、②特殊なオンリーワン技術をもつ 企業がわが国に存在するなどの理由である。このものづくりの文化は若国の 宝であり。技能継承は国力維持に必要な対策である。 その意味で、今回の東大阪商工会議所のM&A推進は商工会議所の 新しい試みとして評価できる。

参考:2005年8月10日日本経済新聞「M&Aで後継者難救え」



投稿者 kato : 22:48

2005年6月24日

2005年6月24日 書籍取次店の物流改革

消費者ニーズ重視への物流改革

出版不況といわれて久しい。我々著述業は印税率、出版部数とも大幅削減となり、 かつての出版作業に比べて多くの作業負担を強いられるほか、出版事業については 収入減少の傾向にある。

しかし、ネット書店は元気だ。ネット検索による書籍の検索性のよさ、加えて 翌日には書籍が届くという理想的な物流体制が受けているのではないか。 確かに、現在の本屋の場合、正社員でない店員も多いらしく、書籍のことを尋ねても 気の利いた答えが返ってくることは少ない。また、愛想もなく不愉快な思いをする こともある。ネット書店に実態の書店や出版取次店も学ぶことが多いのではないか。

改革すべきもの
現状の課題とあるべき姿

平成11年頃だったか。静岡県伊豆に仕事があってお伺いしたとき、書店の方の不満を 聞いた。それは私の「現在の売れ筋である『ダディー』(郷ひろみ)がないですね」という 一言に端を発していた。書店氏は「いや、加藤さん、我々がたとえ『ダディー』がほしいと いっても出版取次店は配本してくださらないのですよ」と。消費者のニーズを満たさなければ 勝てない。これでは本が売れないわけだ。旧態依然とはこのこと。「そうは問屋が卸さない」 とはまさにこれ!

ネット書店の優れたビジネスモデル

その点、ネット店舗は優れている。一端、ユーザ登録すれば、次からはcookie(クッキー) で認識してくれるし、購買履歴などから、お勧めの本を推薦してくれる。実際の人間よりも 気が利いている。また、物流体制も優れていて大概の本は翌日入荷する。これによってネット 書店の市場規模は2003年に490億円に達し、2年で3.3倍となった。予測として数年後には 書籍販売市場の10%のシェアを占めるといわれる。

消費者ニーズを満たす物流モデル(あるべき姿)

ネット書店は、通常自主在庫をもちつつ、あわせて出版取次店とも付き合っている。これに よって、1日200冊という新刊本も途切れることなく品揃えし、順次配達できる体制にある。 消費者のニーズを的確に満たすことにより、書籍の返本率も7~8%といわれ、実際の書店返本率 30%~40%程度に比べて大幅にコストや手間もを削減している。 出版社の返本コスト負担は年間総額で350億円といわれている。

出版取次店の物流改革
トーハンの出版社と共同した物流戦略

このような経営環境をにらみ、トーハンは埼玉県に300億円を投じて物流センターをつくり、 返本を含めた書籍の共同物流体制を出版社とは始める。在庫数は80万点、参画する出版社は 60社~70社といわれている。この体制で急な発注にも93%程度の体制で即納できるという。

日販のリテールサポート戦略

同様に、日販は、第三世代携帯電話で店内在庫の確認と受発注できるシステムを開発し、 書店15社と実験を始めた。POSとも連動することにより、きめ細かな在庫管理を行い、月額4千円 の利用料で実用化をめざすという。

システムアナリスト加藤の見解
物流改革が旧態依然の書籍流通システムを改革する

以前は、出版社も「取次店が扱ってくれるか」などを気をもみながら出版企画を立てていた。 また、書店も「取次店の機嫌を損なってはほしい本が入らなくなる」「僕たち弱小書店は 欲しい本があってもタイムリに入手できない」と嘆いていた。このような体制の是認が、 出版社の財務状態を悪化させ、かつ中小書店は廃業に追い込んだともいえるのではないか。

書籍取次店は通常の流通過程では問屋に相当する。他の市場では「問屋無用論」「中抜き」 が起こっている。だから、書籍取次店が物流投資に出る戦略は当然といえる。このケースも 情報戦略の要点は以下の3点に集約されると思う。

  • 物流改革 QR(Quick Response):消費者ニーズを満たす的確かつ迅速な物流
  • ムラ無駄の改革:返本コストに着眼し、返本コスト削減を経営目標の1つとする
  • リテールサポート:小売店の繁盛が自社の反映につながる

以上

参考:日本経済新聞2005年6月15日「出版物流、手本はネット書店」



投稿者 kato : 09:58