2008年10月22日

プロジェクトマネージャ試験 2008年 午後II 問1

平成20年 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1 解答例 

1 業務革新の概要と経営目標、背景
1.1 プロジェクト概要

 私が関与したプロジェクトは、食品原料加工業A社の調達物流システム開発である。同システムは 調達部門、生産管理部門、倉庫部門、検査部門が利用する。現在、A社は海外から原料を仕入れ加工して、 大手食品製造業に食品原料を提供している。
 現在の経営課題は、大手食品製造業から、厳格な品質保証を迫られていること。 このため、A社企画室では調達製品の検収の厳格化、保管の安全管理、荷役の正確化などの盛り込んだ 開発計画をまとめた。A社は世界標準に準拠した品質保証マニュアルを有している。


 本プロジェクトには、A社企画室B氏、当該利用部門がオブザーバとして加わる。 当社は管理者としての私、ネットワーク開発者1名、データベース開発者1名、 プログラマー3名によって構成される。開発に当たりパッケージソフトをA者向けに カスタマイズする必要がある。

1.2 合意された利用部門の作業

 A社側は、基本的に保管システムなどの機能については自らの業務を改め、パッケージに 合わせる予定でいる。しかし、受け入れ検収作業と出荷検査作業などは顧客から 作業の厳格化を求められているため、パッケージの改定が必要になる。
 A社側が約束した協力作業内容は以下のとおりである。

  1. 要件定義開始から1ヶ月以内に、検収・検査手続き改定の仕様をまとめる
  2. 当社が取りまとめた要件定義をレビューして、1週間以内に承認を行う。
  3. 総合テストに参加して、仕様の実現化状況を検証する
2 利用部門の課題と対策
2.1 利用部門の課題

 要件定義が開始されてから1ヶ月がたった約束の日に利用部門から変更要件に関する 仕様確定の返事が無かった。その後も1週間待っても返事が無く、検収・検査手続きの概要設計作業が 待ち状態に陥り納期遅延の恐れが発生した。

2.2 利用部門の返答遅延の理由
 利用部門からの返答遅延の理由は次の通りである
  1. 食品原料偽装問題が発生し、流通経路が混乱していた。
  2. この問題に対処するために利用部門の人員が割かれ情報システム変更仕様確定が手付かずになっていた
  3. この混乱の収拾には後1月くらいかかる見通しとA社からの返答があった
2.3 対処

 このままでは予備日程を食いつぶし、納期遅延が大幅に拡大する可能性もある。 また、他の業務に遅延が拡大する可能性があった。このため、次のような対策を私は講じた。

  1. 現状を放置した場合の、A社の損害、システム開発の遅延の発生などの被害状況を報告書に取りまとめ A社担当B氏に提出し説明した。
  2. 仕様確定のノウハウを持つ専門技術コンサルタントX氏の招請を上司に提案し承認された
  3. A社担当B氏に、①X氏への協力の要請、②X氏の応対担当のメンバーの確保を依頼し承認された
  4. B氏の担当C氏にも事前に当社幹部から根回しを進めておいた
  5. そのうえでX氏をA社に送り込み、要件仕様を確定させた。
 X氏はA社品質保証マニュアルをレビューし、情報システム変更仕様を確定させていった。
2.4 対処の理由
2.4.1 根回しを行った理由

 A社の混乱状況は危機管理対策状態であり、B氏のような課長クラスの人間でも、 情報システム開発の仕事に専念し難いような環境と判断された。このためトップダウン的 門外解決が必要とされた。

2.4.2 X氏の投入

 業務分析やヒアリングには経験とスキルが必要とされる。また、A社には品質保証体系図などの文書 が存在するから、その内容を理解することのできるメンバーを集中的に投入すれば、A社にヒアリング等に 多大な負担をかけることなくA社業務や仕様を洗い出せるものと判断した。

3 評価と改善
3.1 評価

(1)納期目標の達成度
要件定義工程は1ヶ月余分にかかった。しかしX氏の正確な要件定義よって、 外部設計以降の工程で挽回が可能となった。また、予備日程を1ヶ月保有していたことも 大きかった。
(2)手続きの妥当性
 今回は顧客が非常事態であった。その環境下では柔軟な対応が求められる。このため、 組織ルールを護り上司に相談しつつ、X氏の投入を決めた。
 また、顧客に対しても十分な説明責任を果たした。

3.2 改善点

 基本的に開発プロジェクトは余裕日数をもって望むことが理想だ。 しかし、今回のように予期せぬトラブルが顧客側に発生することもあり、 そのような場合の対処は全社的に確立しておく必要がある。

  1. 危機管理発生時の対処事例集、マニュアルの整備
  2. X氏のような専門的問題解決能力を持った人材の確保とデータベース登録
  3. 対処に関する意思決定を迅速化するための手続きの確立と全社的合意

 このほか、3PL組織を毎年、評価し格付けの変更を行うとともに、顧客からの要望を 取り入れて改善を要望してゆく必要がある。

プロジェクトマネージャ試験、小論文対策講座(有)アイ・リンク・コンサルタント



投稿者 kato : 21:35 | コメント (0) | トラックバック