2005年9月11日

2005年9月11日 缶コーヒーにみる競争戦略

激化する缶コーヒー商戦

缶コーヒー市場の勝者が清涼飲料水市場を制す

缶コーヒー市場をめぐる争いが激化している。それは 「缶コーヒー市場の勝者が清涼飲料水市場を制す」と いわれているからだ。

利益率の高い缶コーヒー市場

 缶コーヒーは清涼飲料水の市場の中で25%のシェアを持つ といわれている。その特性は次の通りである。

  • 強み:【定額販売】自動販売機の売上が70%を占めるから値引きがない
  • 強み:【収益性の良さ】1缶あたりの容量が小さい
  • 弱み:【成熟市場】市場成長率が横ばい

このため、毎年缶コーヒー市場では激烈なシェア争いが繰り広げられている。 有名ブランドのシェアは次の通りである。

  • コカ・コーラ【ジョージア】:39%
  • サントリー【ボス】:16%
  • ダイドー:9%
  • キリンビバレッジ【ファイア】:7%%
  • アサヒ飲料【ワンダ】:6%
  • ポッカ:3%
  • JT:3%
  • UCC:3%

出所:2004年業界の推定に基づく

topシェアのコカ・コーラはもともと、コーラが冬売れないため缶コーヒー 市場を開発した経緯がある。もともと、缶コーヒーは米国になく日本独自の 文化として始まった。また、コカ・コーラは今年清涼飲料水市場でのシェア 低下に悩んでいる。

缶コーヒー市場をめぐるブランド戦略

 缶コーヒーでは毎年、①ブランドロゴの変更、②缶のパッケージの変更、 ③CMに有名人を起用などによりブランド力の強化を行ってきた。 今年も、「ジョージア」のパッケージデザインが変更になった。 ジョージアの戦略はパッケージデザイン変更による若者の取り込み である。

システム監査人加藤の所見

 もともとから、この分野がかなり厳しいシェア争いをしていることは知っていた。 現在ではシェアの低くなったポッカも、缶に書かれた青年のイラストも時代に 応じて、人相や髪型を変えていたくらいだからだ。

 また、ある企業から今年は緑茶市場の戦いが激烈 とのうわさが聞こえていた。何しろ、成熟化している缶コーヒー市場に比べ 緑茶市場はミネラルウォーター市場と同様に2けた成長が続くからだ。

 新聞記事にもあったように、今後は、缶コーヒー市場だけでなく 緑茶市場も合わせた「二面戦略」(混合戦略) が展開されるものと関係者はうわさしている。

参考:日経MJ 2005年8月29日「缶コーヒー商戦火ぶた」
(c)アイ・リンク・コンサルタント 加藤忠宏



投稿者 kato : 23:50

2005年9月 4日

2005年9月4日 自分らしさを追及する若手男性消費市場

明らかになる若者男性市場

節約派・自炊派男性の支出動向

 日経MJ(流通新聞)調査によると、若者男性は、フリーター、正社員の区別なく 生活防衛と値ごろ感を持ち選択的支出を行っているようだ。

女性の支出との比較

 若者男性と女性の比較は、女性がある程度ファッションなどに支出するのに たいして地味な支出が目立つ。

具体的に、 「節約派・自炊派」と呼ばれる人がそう。彼らは、99円均一ショップ などで、カット野菜や豚肉こま切れや冷凍食品などを買っているという。彼らは何を 考えているのだろうか。

  • 本当に欲しいものに金を使う
  • 友人関係に気を配り、携帯電話への出費を惜しまない
  • 仲間との連帯感を求める
  • このためミニバンなどの自動車がよく売れる
  • キーワードは自分らしさ
システムアナリスト加藤の意見
若い頃の自分の購買形態によく似ている

 日経MJの調査結果をみて「なるほど」と思った。実は、自分が若い頃の消費形態に よく似ているからだ。無論、当時は携帯電話などないので自分は旅行と一眼レフカメラ に金をつぎ込んでいた。それではなぜ、かれらは一点主義の購買を貫くのだろうか。

 当時の自分の状態を振り返ると「自分は何かを問いかけていた」 また、「社会の評価の低さを嘆いていた」。だから、自分らしさ を求める若者の気持ちは良く分かる。

新しい小売業のビジネスモデル

 どうやら、このあたりの需要を見抜いた小売ビジネスがあるようだ。具体的には 「99円コンビニ」「生鮮品を扱うコンビニ」がそれ。需要がある限り、ビジネスは成立する。 あらたな需要の動向を監視しつつ、ビジネスチャンスを生かす見識が求められる。

参考:日本経済新聞 2005年8月19日「目覚めたオトコ市場」
(c)アイ・リンク・コンサルタント 加藤忠宏



投稿者 kato : 00:08

2005年8月14日

2005年8月14日 競争激化する宿泊予約サイト

事業提携を主軸にしたシェア競争戦略

宿泊顧客を取り合う楽天トラベル対リクルート・ヤフー連合

経済産業省の統計によると、2004年の宿泊予約ネット市場は1兆2000億円 (対前年比130%)であるという。常々から楽天・Yahoo・LiveDoorなどの ポータルサイトの競争が激化してきているが、 その戦線がにまで宿泊予約システムまで及んできた 様相である。

宿泊予約システムのシェアの現状

 ネット宿泊予約システムのシェアの現状は次のとおりである。

  • サイト名    国内契約施設数 シェア 閲覧者数 利用者数
  • 楽天トラベル  17,000件    29.6% 248万人 1,400万人
  • リクルート&Yahoo15,000件    26.1% 321万人  165万人
  • ジャランネット 12,000件    20.9% 283万人  -------
  • ベストリザーブ  700件     1.2% 103万人  -------

ベストリザーブ:ライブドア傘下企業

出所:ネットレイティングス6月調査結果

 ネット宿泊予約システムのシェアでは、楽天トラベル がトップシェア(29.6%)である。リクルート&Yahoo連合は、閲覧者数こそ 楽天トラベルを上回るが、契約施設数や利用者実績、契約施設シェアで大きく差を 付けられている。

リクルート&Yahoo連合の戦略

リクルート&Yahoo連合による宿泊サイトシェア獲得戦略は次の通りである。

  • 楽天トラベルの手数料引き上げトラブルに乗ずる
  • じゃらんのノウハウを持つリクルートと業務提携しノウハウを得る

しかし、楽天の強みは楽天購買者を把握していて、その顧客を 楽天トラベル顧客にしていること。 これに対してYahooは検索サイトとしてのブランド性が高く 商取引サイトとしての機能を発揮できていない 弱みがある。 このため、Yahoo側としては、既存Yahooへの宿泊予約システム 機能強化が課題になることは間違いがない。

参考:日経MJ 2005年8月5日「ヤフーとリクルート、サイト共同運営」
(c)アイ・リンク・コンサルタント 加藤忠宏



投稿者 kato : 13:13

2005年7月11日

ネット証券市場、激烈な競争へ

2005年4月~6月間の証券売買代金は対前年度比でイー・トレード証券と楽天証券が 出来高を大きく伸ばしたのに対して、松井証券などは減少傾向となった。この結果、 楽天証券が松井証券を抜いて業界2位になった。

イー・トレード証券25%増!
勝ち組の状態

 イー・トレード証券は2ヶ月の売買代金は10兆5100億円と前年度25%増!、楽天は5兆300億円 で9%増である。

負け組の状態

 反面、松井証券は4兆7500億円でなんと26%減少となり2位をすべり落ちた。

ネット証券の勝ち負けを左右する要因

 それでは、何がネット証券の勝ち負けを決定づけたのだろうか。その要因は 次の通りである。

  • ネット証券の売買高向上に寄与していたのは実は個人投資家
  • 勝ち組企業は個人投資家を意識したサービスを展開
  • 具体的には、売買手数料を値下げするほか、投資信託など取扱い商品を拡大
  • 負け組み企業は売買手数料が相対的に高い
システムアナリスト加藤忠宏の考え
企業は常に経営革新が大切

 松井証券は、いち早くネット証券事業を立上げ、波に乗った企業である。 しかし、その松井証券も経営努力を怠るとネット後発の楽天証券に遅れをとって しまった。このことは、ビジネス上の優位性は短期間でくずれるということである。

市場ニーズへの敏感さが勝敗の鍵となった

 恐らく、今回後手を引いた松井証券も、自分達の顧客が個人投資家であることは 分かっていたはずである。売買手数料の値下げが遅れたのは、主要収入単価削減を決断 することには大きな抵抗感があったのではないか。しかし、個人投資家からすると 売買手数料が安ければ、取引を頻繁におこなうことができ、小額の株価上昇に対しても 迅速に「利喰う(利益確保)」ことができ損をする確率が少なくなる。

取り合えず、今回のネット証券の場合、売買手数料の値下げが、消費者の 意思決定要因であったことが、これで証明された形であろう。

参考:2005年7月9日日本経済新聞「楽天、松井抜き2位に」



投稿者 admin : 10:02

2005年7月10日

2005年7月10日 低価格戦略で市場開拓

低価格戦略で新規市場開拓

セイコーエプソンは、2005年6月15日にレーザープリンタにコピー機能やFAX機能など を実装したカラー複合機を発表した。

セイコーエプソンの低価格戦略
セイコーエプソンの戦略

 セイコーエプソン(以下エプソン)の戦略は、30万円低価格のカラー複合機を 発表することによって、カラー複合機市場に楔をいれようというものである。 そのサービスの特徴は次の通りである。

  • 他企業が価格帯150万円~250万円のところ30万円代の価格で販売する
  • リース契約ではなく、買いきり契約とする
  • 従って、カウンターチャージによる課金もない

この戦略で中小企業市場を目指す。

カラー複合機市場の現状

 カラー複合機市場はキャノン、リコー、富士ゼロックスの上位3強が強い。 基本的に彼らはエプソンの戦略に対して「自分達と市場が異なる」と静観する かまえ。

システムアナリスト加藤忠宏の見解
中小企業とカラー複合機

 実は、自分の会社もカラー複合機が入った。メーカはリコーである。 ランニングコスト的にいうと、従来機械に比べるとリース契約で年間100万円高い。 この導入でシステム運用管理者ともめた。

中小企業にとって、年間100万円のランニングコスト増加負担は大きい。しかし、 カラー複合機による印刷の美しさはビジネス的に非常に有利であり、そのトレード オフを天秤にかけて弊社は導入を決断した。それゆえに「もっと早くいってくれれば」 という思いが強い。

設備投資の感覚として

 設備投資の案件が部下から出た場合、金額を0.05(5%)で割ると良い。 100万円のコスト増の場合、売上的に2,000万円に相当する。これが経営感覚である。 根拠は、売上高対営業利益率(通常約5%)にある。

参考:2005年6月15日、日本経済新聞「エプソン複合機に参入」



投稿者 kato : 12:06

2005年6月28日

2005年6月28日 特許戦略(知的財産権の防衛)1

半導体の父ゆく

集積回路(IC)の発明者でノーベル物理学賞受賞者でもあるジャック・キルビー氏(81歳)がなくなった。なんでも、 1990年代には、キルビー氏の特許を持つテキサルインストゥルメント社と日本企業とが特許を巡り法廷闘争を 繰り広げたことが新聞に取上げられており、あらためてIT関係者として集積回路が重大な発明であることを 認識させられた。

自動販売機の特許について

皆さんは自動販売機について特許が取得されていないことはご存知でしょうか。そうなんです、特許が取得されて いない。だから、というわけではないでしょうけれど、自動販売機はわが国の街頭を席巻している。

企業の知的財産権=特許権=

弊社でも、現在ビジネスモデル特許を申請しております。この特許は、既に申請と審査請求が完了しており、 既に販売しても良い状態になっております。実は、すでに販売契約いくつか成立しおり、既に特許申請に 要した費用は回収済みである。

知的財産は、我々のようなITベンチャー企業でも特に重要であり、自分達の市場を守るために使われたり 交渉を有利に進めるために使われたりする。

かつて、弊社は商標を申請していた。結果は申請妨害行為「情報提供」という行為があり、 取得はかなわなかった。しかし、申請中に幾つか発生した、ビジネス上の課題を、申請中の 商標が解決してくれた。

特許取らずの戦略もある

意外に思われるかもしれないが、特許を申請しない戦略もある。これは、発明としては 秀逸なのだけれど、複数の製品開発法があるケースに該当する。特許は申請すると、 開発法を開示しなければならず(技術公開という)、それにより類似商品の開発が可能になり ビジネスリスクになる。こんなケースもあることを皆さんは是非知っておいてほしい

参考:日本経済新聞社「半導体の父、キルビー氏死去」2005年6月22日



投稿者 kato : 23:59

2005年6月16日

2005年6月16日 CVS店舗における競争戦略

大資本小売店舗の競争戦略

中心市街地の空白を埋める100円コンビニ

100円コンビニエンスストアの競争戦略が激化している。同一地域に複数の大規模資本の店舗が出店し顧客を奪い合っている。

相手の所在する地域にあえて出店する戦略は、実は防衛の意味もある。かつてコンビニは顧客ニーズに敏感な品揃えを行うなどして成長してきた。しかし、ここへきて中心市街地に生鮮品や雑貨を扱う100円コンビニ店舗の出店はコンビニの脅威となっている。確かに青果はコンビニの盲点となっている商店である。

競争激化の要因

現在、地方都市では中心市街地の衰退が重大な問題となっている。地方都市の駅前に空き店舗が増えシャッター通りとなっている実態を指している。

これは、消費者のモータリゼーション化に、駐車場の確保の難しい駅前商店街や駅ビルが対応できないことに起因している。郊外の店舗の方が十分な店舗面積や駐車場確保が容易であるからだ。

しかし、中心市街地の衰退は、近隣住民に不便を強いている。すなわち、かつて存在した八百屋や魚屋が近隣に見当たらなくなったからだ。このため、中心住宅街に生鮮品の空白地域が広がった。

システムアナリスト加藤忠宏の所見

著者が上京した頃、コンビニの勃興期(昭和53年頃)であり、著者は最初コンビニを「不思議なスーパー」と思ったしだい。

しかし、コンビニのような新しい業態も誕生から20年以上たつと成熟度を高める。このため、新しい時代環境に対応してゆくためには、新しい時代のニーズに回答できないといけない。

わが国は急速に高齢化社会を迎えつつある。郊外に転居した人々が中心地に戻ってくることも予想される。しかし、このときには、駅前中心市街地は空白地帯となっていることが考えられる。これらの間隙を埋める業態が登場しても不思議ではない。

例えば著者の所在する静岡県でも清水区の駅前商店街の人通りが少なくなったと聞くことが多い。ネット取引などに活路を求める小売業も一つの業態であるが、生鮮を扱う100円コンビにも有望な業態だと思う。

参考:日経MJ 2005年5月30日「青果店減って街に空白商圏」



投稿者 kato : 23:57