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2010年4月20日

平成22年(2010年度)プロジェクトマネージャ試験 午後II 解答例

平成22年 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1 解答例 

1.プロジェクトの特徴とプロジェクト目標
1.1 プロジェクトの概要

私が開発に関与したプロジェクトはA社の生産販売管理システムの開発システムである。A社は製造業であり、得意先から引き合いをすると、技術的に対応可能か検討した上で、原価計算、見積り、受注、購買、生産する。情報システムの規模はおおよそ200人月であり、プロジェクトメンバーは常時10人である。

1.2 プロジェクトの特徴
 契約の形態はA社が当社得意先との関係も深いため、詳細設計から結合テストまでが請負契約となっている。また、A社は原価管理システムに独自の計算方法を持っていて、A社担当者の協力なくして開発は困難である。また、受注電文のフォーマットが取引先によって異なっているため、どの電文を標準化するかが未確定要素であった。
 私は開発以前からA社担当者B課長と打ち合わせをしていて上記二点について開発着手前の解決を依頼していたが、達成されないまま開発プロジェクトが開始された。また、A社からの依頼事項として、クラウドの開発を懇願されていたが、当社にとっては始めての開発であり不安要素であった。
1.3 プロジェクトの目標について
 プロジェクト本来の目標は、A社の要求する納期、品質で、情報システムを依頼されたコスト内で納めることである。しかし、今回は契約面において不利な交渉であったこと、内部設計工程からが請負契約である条件であること、未確定要素の多い開発プロジェクトであるため、次のような目標を立てた。
  1. リスクを最大に見積もった規模見積りで対処する
  2. プロジェクトを黒字プロジェクトで完了させる
  3. 品質標準を保ったシステム開発の完了
2.プロジェクトリスクとリスク分析
2.1 プロジェクトリスク

(1)赤字プロジェクトの恐れ
未確定の機能開発を正確に見積もることができないため、開発工程が最悪1.5倍程度になる可能性がある。このケースは25%程度の赤字プロジェクトになる (2)品質標準が保てないこと
 未確定仕様について、顧客の仕様変更がプロジェクト中に頻発すると、品質標準が保ちにくくなり、顧客の利益が損なわれること。 (3)納期遅延
 顧客の協力が得られない場合、システムの仕様確定が遅れて納期遅延になる可能性があった。 2.2 リスク分析
(1)規模見積りについての分析
 上記、リスクのうち、最大のものが(1)味覚提要その影響による赤字プロジェクトである。これを定量的に分析する手法として iCOST法を使った。  iCOST法はFP法で概算の規模見積りを一端、行い、その後、COCOMO法を用いて再見積りを行う。そのなかで、リスク要因となる①未確定要素、②はじめての技術基盤(クラウド開発)をパラメタとして計算式にいれ他結果、最悪のケースは開発段階で1.5倍の規模となるという結果が出た。 (2)品質標準と維持について
 ここで品質とは、①バグなどの不具合、②ユーザの求める機能の作りこみ、③ユーザの求める性能、④テストが不十分なことによるキャリーオーバーなバグの存在、⑤ドキュメント品質、⑥移植性などを総合的にさしていう。
 バグなどはゴンベルツ曲線などによるバグの摘出数で定量的に見積もることができる。また、ユーザの求める機能や品質はユーザからのクレーム数などで測定できる。ドキュメント品質はドキュメントのページ数/kstepの定量的側面と、曖昧さの排除のような定性的側面で評価する。

3 リスク対応計画と評価
3.1 リスク対応計画

(1)(1)規模見積りリスク
 規模見積り対策として以下の対策を講じた。 ①COCOMOで最終算出した予算規模に当社標準の待ち工数を加算して、概要設計後の段階で顧客に提出した。この段階で未解決な仕様は残っていた。 ②顧客の意思決定責任者と相談して、未解決のキャリーオーバは顧客のメリットにならないことを説明して、顧客サイドの協力を得て仕様確定を加速した。当社側も、上司の承認を得て、製造業の仕様確定の専門家を招請して顧客のニーズを引き出してゆき、内部設計中盤には仕様を確定していった。

(2)品質管理対策
 仕様変更が品質に与える影響をA社責任者に説明し、スコープ委員会を設置してもらった。仕様変更依頼が発生するつどにスコープ委員会で決済し、採択、優先順位付けを行い仕様変更を仕分けした。

(3)納期遅延対
 納期遅延対策は独立して開発できる機能を選定して、仕様確定待ちしているメンバーをシフトして先攻開発していった。

3.2 評価

(1)顧客との利害の共有
 顧客と利害を共有し、交渉を進めることにより、円滑に顧客の協力を引き出すことができた.
(2)意志決定者へのアプローチ
 顧客窓口の立場を守ることも重要であるが、重要な決定事項がある場合は、先方の責任者に可能な限り同席してもらった。
(3)定性的見積りの導入
 顧客に規模と人月、コストの関係を可視化することによって、顧客のコスト意識を引き出すことに成功した。また、開発サイドでもリスクとコストの関係が明確になって先手を打って顧客にアプローチできた。また、リスクと思える技術基盤を開発前に技術習得させることにしたことも有効だった。
(4)スコープ委員会
 ユーザと委員会で合意を得ながらプロジェクトをすすめたことによって、仕様変更を予想以上に最小化できた。

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投稿者 admin : 2010年4月20日 21:50