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2010年4月21日

平成22年(2010年)度、プロジェクトマネージャ試験 午後II 問3解答例

平成22年 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問3 解答例 

1.プロジェクト概要と重点管理項目
1.1 プロジェクト概要

 私が参画したプロジェクトはC社の原価計算システムの開発プロジェクトである。C社は製造業であり、独自の標準原価計算に基づいた原価計算方式、積算方式を採用している。従来は原価計算のパッケージソフトを採用していたが現実との業務との乖離が発生して課題となっている。そこでリニューアルし、既存の会計パッケージと連携する必要がある。

 本プロジェクト規模はおおよそ50人月。開発組織は顧客の会計担当者と顧客プロジェクト管理者。当社は管理者としての私。会計に詳しいSE、プログラマ2名、データベース管理者1名である。C社は新年度4月からのカットオーバーであり、テスト期間を含めると余裕期間がない状態であった。

1.2 重点管理したアクティビティ
 開発工程をWBS(Work Breakdown Structure)として細分化して、アクティビティかする。これらの工程をスケジュール上に並べてパート図化すると次の工程が課題となっていることがわかる。
(1)原価計算の仕様の要件定義
通常の原価計算と、C社方式との原価差異を明確化して開発用件として定義しておく必要がある。特に、勘定科目体系や原価差異などの取り扱いについて、企業会計原則や商法及び法人税法上の取り扱いでコンプライアンス上の問題点がないか十分な精査が必要であると共に、顧客との意見調整も必要と予想された。
(2)会計パッケージとのインターフェース部分の設計
原価差異分析がかわると勘定科目体系に影響が出る。現在使用中の会計パッケージの勘定科目体系との調整が必要になる。現行の財務諸表に影響が出ないような対策が必要と予測された。
2.完了日を守るための対策について
2.1 対策の基本戦略
 上記のアクティビティとクリティカルパスが進捗管理上の課題と予想されたため、その対策として以下の考えを文書化して、上司の承認を得た上でプロジェクト組織に周知徹底、及び顧客に伝達した

(1)(1) 財務諸表アウトプットの品質確認のため最終1.5ヶ月はテスト期間とすること
(2)(2) 勘定科目の作りこみや、その影響調査を含めて顧客の協力を要請すること。そのために要件定義に1.5ヶ月の期間を確保すること
(3)会計に関連する専門用語、アクティビティ名を徹底して標準化して、紛らわしい用語、類似用語を使わないようにすること
(4)ユーザと開発部隊の認識を共有化するために、用語や認識のあいまいさを徹底的に排除して疑問点があれば即座に質問、回答、報告、共有するための掲示板をネット上に構築すること
(5)(4)の仕組みを使って、プロジェクトの進捗の可視化をユーザ側と共有すること
2.2 分担のルールと周知徹底の工夫
 顧客の協力が得られない場合、システムの仕様確定が遅れて納期遅延になる可能性があった。 2.2 重点アクティビティへの配慮
原価差異分析アクティビティが原価管理システムの品質と、会計システムへの影響が大きいと判断した。この仕組みが混乱するとプロジェクトの納期に大きな遅延が予想されるので次のような配慮を計画した。
(1)会計に詳しいSEのユーザ会議、プロジェクト会議への参画。
(2)(2)要件定義段階で、会計システムのコンプライアンスを確保するために当社顧問税理士への相談の実施。
(3)原価差異分析の勘定科目変更による、会計システムへの影響を波及分析を、シミュレータ実施。その結果のユーザ共有・プロジェクト内共有
(4)重点アクティビティについての週単位での進捗管理の実施。予想される進捗遅れに関する顧客への連絡体制の整備

3 進捗遅れの原因と影響分析および対策
3.1 進捗遅れとその原因

(1)コンプライアンス上の問題
 当初、ユーザの説明では一部、出力される勘定科目が変更されても問題ない。そのままシステム開発を継続してほしいという意見であった。しかし、要件定義段階で税理士から「企業会計原則の継続性の原則から問題がある」という指摘をうけて見直し作業を実施したため、要件定義作業が2週間の遅れが発生した。

(2)単体テスト結果のユーザ確認遅れ
 ユーザとの進捗管理情報、製品情報の共有化を実施していた。しかし、原価加工費の差異分析用データベース詳細設計の結果にユーザー担当者のOKがでて、次の作業に取り掛かったタイミングで担当者上司から、原価分析データ用の識別符号をぜひ付加して欲しいという意見がでた。これは、ユーザ担当者が上司の意見を我われに伝達忘れしたことが原因である。また、上司も他の会議に時間を割かれていて、共有されている仕様に対するチェックが甘くなったのが原因と予想された

3.2 追加対策

(1)変更管理ついて
変更管理についてはユーザを交えた、スコープ管理委員会を臨時に開催して、優先順位、他のシステムへの影響度を考慮して判断。上記2案は重要なので採択。進捗スケジュールを見直した。
(2)スケジュール対応
 今回のスケジュール対応についてのポリシとして「専門性の高いプロジェクトであるから、追加要員投入は混乱の原因である」と判断。実施しなかった。
 従って、スケジュールの組み換えで対処した。勘定科目対応の必要性のないアクティビティ開発を優先させて、会計に強いSEとデータベース技術者を集中的にユーザ変更要求に対応させた。他のメンバーは別作業を並列化した。
(3)レビューの強化
 会計システムでは間違いが許されないので、設計変更のタイミング、作りこみ後のタイミングでユーザを交えたレビューを実施して、設計書上のあいまいさや、作りこんだ製品のアウトプットの正しさを検証した。

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投稿者 kato : 2010年4月21日 10:48