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2008年10月24日
2008年 システムアナリスト試験 午後II 問3
平成20年 システムアナリスト試験 午後Ⅱ 問3 解答例
1 システム化全体計画の概要
1.1 システム化の背景
私がシステム開発企画に関与したA社は中堅の広告印刷業である。A社では大手スーパーマーケットチェーンなどを
中心にしてチラシ広告を製作提供している。
また、昨今ではWeb開発を請負うコンテンツ事業も実施している。事業部構成は、①総務部、②営業部、
③編集部、④制作部、⑤コンテンツ部、⑥生産部の構成となっている。
A社の情報システムは編集部と制作部を中心としてネットワーク化が進んだため生産部などの立ち遅れが目立ち、 購買、生産、配送業務を含めた全社的情報システムが必要となっている。
1.2 システム化実現法と計画
1.2.1 システム化実現法
A社では、中堅製造業向けパッケージシステムの導入を含めて開発手法の比較検討している。検討しているパッケージは生産計画や原価計算に 優れたシステムである。その場合、既存情報システムのうち、購買、原価計算の機能はパッケージ標準に合わせて業務改革を 行う必要がある。
1.2.2 全体の体制とスケジュール
A社経営者は本システム化計画を全社一丸となって薦めるべき、開発ベンダーのほかプロジェクトに
ワーキングチームとして各部のIT担当者を参加させている。
システム化の進め方は以下のとおりとなっている。
- 経営者がキックオフ宣言を行い、情報化の目的をチーム内に周知する
- 各部から持ち寄った情報化要望を経営目的や事業優先度、コスト等を考慮して、チーム内で実化の可否を検討する
- 情報システムの予算組み、開発範囲の確定、RFPの作成、ベンダーのコンペティションを実施する
- システム開発と並行して決定した仕様にしたがって、業務改革を推進する
開発コストは総額で5,000万円、回収期間は5年、評価法はDCF(Discount Cash Flow)法で実施する。
2 個別案件の全体的最適化について
2.1 基本方針
A社経営者は全体的最適化の方針を次のようにまとめた。
- 生産部門の標準化と生産性向上、正確な日程計画の推進
- 原価管理の徹底によるロスの無い部門決算の推進
- 情報システムの連携に伴い全社的情報の共有と情報の一元管理
- 開発実現の速度と安定稼動を重視し、パッケージの検討を行う
2.2 個別システムの優先順位決定について
今回は立ち遅れた生産部門に力点を置くため、システム開発化の優先順位は次の方針に基づいて行うことを 経営者に提出し承認された。
- 開発方針に基づいて、生産計画機能、原価計算機能を最優先とする
- パッケージを利用する場合、その持つ原価計算機能を利用した、経営計画システムや会計システムとの連携部分の開発も必須である
- 大日程計画を既存グループウェア上の作業計画に落とし込む機能を開発する必要がある
この場合、基本的にパッケージソフトの標準機能に合わせて情報システムを作りこんでゆく 計画であり、その他の付帯的機能や開発要望は第二次開発とすることを開発会議で合意した。
2.3 標準化の推進について
複雑な機能を個別に作りこもうとすると開発コストが増大する。そこで、全体的最適化方針に基づき、 標準化の方針は次のとおりとする。
- 原価計算法はA社の採用している原価計算法が設定可能なパッケージを選定する
- 微細な勘定科目等の差異要因は、パッケージに合わせてる方向とする。その調整を、会計部門、営業部門などと調整する。
- パッケージと既存情報システムとのインターフェース部分は標準のまま、データの引渡しが可能かどうかを技術検討し、 不可能な場合はインターフェース部分の開発も行う
- そのためのワークフローを作成し業務を標準化する。
3 評価と改善
3.1 評価
(1)経営目標の達成度
パッケージの導入によって、独自開発に比べて半年早く、生産システムと他のシステムの連携が実現できた。
この結果、生産計画の合理性、省力化が実現できた。また、生産計画で作成された原価データを営業チーム、会計チームなどが
参照でき、見積り正確化や財務管理計画の正確化に寄与している。
(2)全体的最適化の実現
パッケージのカスタマイズを最小限に絞り込んだため、パッケージの品質を崩さず安定稼動ができた。
また、開発コストも独自開発に比べて30%程度削減できた。
3.2 今後の課題
第一次開発の際に取りこぼした開発案件や標準化によって業務改革を強いられた部門へのフォローアップが 必要である。
- 取りこぼした物件:原価計算に基づいて、①経営計画を立案する経営計画機能、②在庫調整結果やたな卸し結果などを 電子データとして反映させる機能
- 勘定科目などの標準化を推進したセクションでは一部混乱があったので、セミナー等教育を充実してフォローアップしてゆく必要がある
2008年10月22日
プロジェクトマネージャ試験 2008年 午後II 問1
平成20年 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1 解答例
1 業務革新の概要と経営目標、背景
1.1 プロジェクト概要
私が関与したプロジェクトは、食品原料加工業A社の調達物流システム開発である。同システムは
調達部門、生産管理部門、倉庫部門、検査部門が利用する。現在、A社は海外から原料を仕入れ加工して、
大手食品製造業に食品原料を提供している。
現在の経営課題は、大手食品製造業から、厳格な品質保証を迫られていること。
このため、A社企画室では調達製品の検収の厳格化、保管の安全管理、荷役の正確化などの盛り込んだ
開発計画をまとめた。A社は世界標準に準拠した品質保証マニュアルを有している。
本プロジェクトには、A社企画室B氏、当該利用部門がオブザーバとして加わる。 当社は管理者としての私、ネットワーク開発者1名、データベース開発者1名、 プログラマー3名によって構成される。開発に当たりパッケージソフトをA者向けに カスタマイズする必要がある。
1.2 合意された利用部門の作業
A社側は、基本的に保管システムなどの機能については自らの業務を改め、パッケージに
合わせる予定でいる。しかし、受け入れ検収作業と出荷検査作業などは顧客から
作業の厳格化を求められているため、パッケージの改定が必要になる。
A社側が約束した協力作業内容は以下のとおりである。
- 要件定義開始から1ヶ月以内に、検収・検査手続き改定の仕様をまとめる
- 当社が取りまとめた要件定義をレビューして、1週間以内に承認を行う。
- 総合テストに参加して、仕様の実現化状況を検証する
2 利用部門の課題と対策
2.1 利用部門の課題
要件定義が開始されてから1ヶ月がたった約束の日に利用部門から変更要件に関する 仕様確定の返事が無かった。その後も1週間待っても返事が無く、検収・検査手続きの概要設計作業が 待ち状態に陥り納期遅延の恐れが発生した。
2.2 利用部門の返答遅延の理由
利用部門からの返答遅延の理由は次の通りである- 食品原料偽装問題が発生し、流通経路が混乱していた。
- この問題に対処するために利用部門の人員が割かれ情報システム変更仕様確定が手付かずになっていた
- この混乱の収拾には後1月くらいかかる見通しとA社からの返答があった
2.3 対処
このままでは予備日程を食いつぶし、納期遅延が大幅に拡大する可能性もある。 また、他の業務に遅延が拡大する可能性があった。このため、次のような対策を私は講じた。
- 現状を放置した場合の、A社の損害、システム開発の遅延の発生などの被害状況を報告書に取りまとめ A社担当B氏に提出し説明した。
- 仕様確定のノウハウを持つ専門技術コンサルタントX氏の招請を上司に提案し承認された
- A社担当B氏に、①X氏への協力の要請、②X氏の応対担当のメンバーの確保を依頼し承認された
- B氏の担当C氏にも事前に当社幹部から根回しを進めておいた
- そのうえでX氏をA社に送り込み、要件仕様を確定させた。
2.4 対処の理由
2.4.1 根回しを行った理由A社の混乱状況は危機管理対策状態であり、B氏のような課長クラスの人間でも、 情報システム開発の仕事に専念し難いような環境と判断された。このためトップダウン的 門外解決が必要とされた。
2.4.2 X氏の投入業務分析やヒアリングには経験とスキルが必要とされる。また、A社には品質保証体系図などの文書 が存在するから、その内容を理解することのできるメンバーを集中的に投入すれば、A社にヒアリング等に 多大な負担をかけることなくA社業務や仕様を洗い出せるものと判断した。
3 評価と改善
3.1 評価
(1)納期目標の達成度
要件定義工程は1ヶ月余分にかかった。しかしX氏の正確な要件定義よって、
外部設計以降の工程で挽回が可能となった。また、予備日程を1ヶ月保有していたことも
大きかった。
(2)手続きの妥当性
今回は顧客が非常事態であった。その環境下では柔軟な対応が求められる。このため、
組織ルールを護り上司に相談しつつ、X氏の投入を決めた。
また、顧客に対しても十分な説明責任を果たした。
3.2 改善点
基本的に開発プロジェクトは余裕日数をもって望むことが理想だ。 しかし、今回のように予期せぬトラブルが顧客側に発生することもあり、 そのような場合の対処は全社的に確立しておく必要がある。
- 危機管理発生時の対処事例集、マニュアルの整備
- X氏のような専門的問題解決能力を持った人材の確保とデータベース登録
- 対処に関する意思決定を迅速化するための手続きの確立と全社的合意
このほか、3PL組織を毎年、評価し格付けの変更を行うとともに、顧客からの要望を 取り入れて改善を要望してゆく必要がある。
2008年10月21日
2008年システムアナリスト試験 午後II 問2 解答例
平成20年 システムアナリスト試験 午後Ⅱ 問2 解答例
1 業務革新の概要と経営目標、背景
1.1 経営目標と背景
私がシステム開発に関与したA社は、食品原料加工業である。部署には研究開発部門、生産管理部門、
工場、倉庫、営業の5部門からなる。現在、海外から原料を仕入れ加工して、大手食品製造業に
食品原料を提供している。
現在の経営課題は、大手食品製造業から、コストダウンを迫られていること。しかし、食品原材料費高騰の折、
コスト削減要素は限定されている。このため、A社経営者は物流コスト削減20%を企画して以下の経営計画をまとめた。
- 構内のアソート業務を外注
- 構内作業を効率化
- リサイクル物流を構築
- 国内輸送でコストを削減
1.2 業務革新の概要
A社における物流業務の業務革新の手段として3PL(3rd Party Logistic)を導入して、 3PL企業に包括して物流業務を委託して物流業務の遂行を行うことを経営計画書にまとめた。 その概要は次のとおりである。
- 社内の倉庫部門の廃止、保管業務、荷役業務、返品回収業務等の廃止
- 上記の業務を、国内の3PL組織に業務委託
- 3PL組織への委託業務範囲は、原材料調達物流、倉庫業務、保管業務、荷役業務、製品配送業務、 返品回収業務、不良品廃棄業務までである。
2 チェンジマネジメントについて
2.1 チェンジマネジメントの必要性
A社本来の業務は素材加工業務である。その品質を高め、コスト削減を行うことが社会的使命であり、 顧客の要望に答えることが生き残り戦略である。このため、原料コスト削減は品質に影響があることから 原料品質と直接関係のない物流のコスト削減に着手した。
2.2 業務改革の重要点
業務改革の重要点は次の通りである- 経営目的を組織内で共有し、組織内のリストラクチャリングと業務革新を組織一体となって推進すること。
- 得意先の理解・合意を得て、強調的に物流業務の再構築に取り組むこと
- 当社の目的に合致する3PL組織に業務を委託し、その業務を監視する仕組みを構築すること。
2.3 業務改革の重要点
業務部門を廃止し、その業務を委託するに当たっては、社内外との調整が必要である。
2.3.1 全社一体となった改革推進倉庫部門の廃止にあたり、当該組織に人々の説得と異動を行う調整が必要である。 それに先立ち、経営方針の所信説明会を開催し、経営目標、経営環境の社員への周知、理解が必要となる。
2.3.2 顧客の合意顧客に今回の改革が顧客の要望を満たすために実施すること。顧客業務にはまったくの 変更が無いことを確認し説明することが必要である。
2.3.3 3PL組織の委託推進
3PL組織を5社ほど候補としてピックアップして、今回の要望書をRFP(Request For Proposal)として
投げかけ見積りと提案書作成を依頼する。それぞれを提案書で格付けして業者選定を行う。業者選定後、
委託範囲やリスクマネジメント事項を盛り込んだ委託契約書を取り交わす。
委託業務に関わる、業務的引継ぎを、引継ぎ所を基にして、倉庫部門担当者と引継ぎを
行わせる。
廃止した倉庫部門を物流業務委託の監視組織に組織変更する。重要なことは3PLへの委託手続きから、
配送物の監視、配送完了の確認を業務手続化して、モニタで一元的に監視できる仕組みをSCM上に
作りこまないといけない。
また、不測の事態や、業務的問い合わせ事項の発生に備えて、委託先と受託先の窓口を確保することが
必要である。
3PL導入を前提としたシステム開発が必要である。そのために以下のような機能を開発 機能として追加する。
- 3PLへの業務委託機能を盛り込む必要がある。そのための通信仕様を確定させる必要がある
- 3PLからの業務遂行上を蓄積し、加工し、表示する機能を計画する必要がある
- 顧客企業からの問い合わせに回答するための、追跡(トレース)機能を備えている必要がある
- 物流にかかわるコスト集計・表示機能を備えて経営陣に報告する必要がある
- SCM構築計画への理解と、その一部機能として3PL利用の実現性
- 構内作業、特にデジタルピッキングの効率化、正確化による誤配遅配ゼロの達成
- モーダル物流によるトータルコスト削減
- 廃棄物流実現によるグリーン物流への理解と実現
3 評価と改善
3.1 評価
(1)経営目標の達成度
3PLによる、人件費削減効果、トータル物流による生産性向上があった。具体的には、
構内の物流作業の整理整頓、分類整理による在庫削減効果とピッキング作業の効率化により
トータルコストは目標を上回る33%向上となり、利益防衛に成功したといえる。
(2)顧客満足の向上
以前は、納品した風袋が敗れるなどのクレームもあったが、専門業者に責任配送により、
クレームは年間0を達成できた。また、生産と配送の責任分担もできている。
3.2 改善点
基本的に現状の機能に満足しているが、事業継続計画の策定に今後は全社的に取り組む必要がある。
- 戦争、災害等があった場合の調達、配送、保管倉庫の維持保全
- 代替輸送経路を3LPから提案を受ける必要性
- 顧客、3PLと一体となった事業継続計画の策定と訓練の実施
- 倉庫担当者の教育とモチベーション維持活動
このほか、3PL組織を毎年、評価し格付けの変更を行うとともに、顧客からの要望を 取り入れて改善を要望してゆく必要がある。
2008年10月09日
システムアナリスト試験の題意の読み取りについて
システムアナリストと情報戦略
添削の生徒さん方からご質問いただきました
情報化戦略と情報化計画の理解について
”情報化計画”と”情報化投資計画”との違いは何なのでしょうか?
観点の違いというか、論述する際に意識すべきところが違うのだとは思いますが、
自分でもハッキリと違いを捕らえられていないのを感じます。
情報戦略、情報(システム)化計画、情報(システム)化投資計画
の3つの言葉の区別が分かっていないようです。
頭の中が、情報戦略 ≒ 情報化計画 ≒ 情報化投資計画です。
過去の問題ですと、以下の論述問題などでの書くべきポイント、書き分けのポイントなどのアドバイスを頂けないでしょうか。
H13-1、H15-1、H18-2よろしくお願いします。
ご回答
情報戦略と情報化計画と情報化投資計画の3つの用語の関係ですが、次のように考えます。
- 「経営戦略」「事業戦略」を実現するために「情報戦略」を立案する。
- 「経営計画」に基づいて「情報化計画」が立案される
- 「情報化計画」に基づいて「情報化投資計画」が立案される
ライバル会社と競合しているような場合は、戦略的情報化計画が立案されるはずでしょう。 戦略性を帯びた情報化計画立案の際のポイントは以下のとおりです。
- 顧客の囲い込みを行うためにCSを高める
- そのためのSFA(Sales Fource Automation),CRM(Customer Relationship Management)機能の提供
- 対顧客サービスやクレームに対するQR(Quick Response)
- ポイントカードのような顧客便益の供与
各門別対応
出先なので、回答できる範囲でお答えします。お尋ねのあった各問の要点は以下のとおりです。
- H13年問1:経営革新にからんだ情報戦略で、経営革新を推進するためにITを利用するというテーマです。かなり 経営戦略と密着したテーマといえそうです。
- H15年問1:この問題は既に、事業プランやビジネスモデルが明確になった計画に対して、ビジネス 支援用の情報システムを投資しようとするもの。したがって、事業計画の推進と歩調を合わせて投資計画を図るとともにトータルコスト削減なんど全体的最適化の視点から 情報化計画を論ずるのです
- H18年問2:この問題の重要点は2つあって、①「競争力強化」, ②BPR(Business Process Re-Engineering)です。そのためのIT化プランを立案します


