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2005年9月 5日

2005年9月5日 PM午後II平成14年問3の解答例

PM平成14年午後II問3 小論文解答例

問3 問題発生プロジェクトへの新たな参入について
1 プロジェクトの概要と機能不備の状況
1.1 プロジェクトの概要

私が関与した情報システム開発プロジェクトは、電子通信業の業務システムアプリケーション開発である。この業務システムは約30個のデータベースを中心として業務手続を構成している。

当社は24時間無停止のDBMSを商品として提供するITベンダーである。今回の開発は実績のあるこのDBMSの上で稼動する業務アプリケーションソフト(以下APという)を開発するプロジェクトである。

今回の開発組織は、当社がDBMSの導入とAP開発を行う。また、顧客は自社のネットワーク基盤の整備とインターフェース部分の開発を分担する。私が赴任する前の当社プロジェクト組織は、管理者1名とデータベース設計者3名及びアプリケーション開発プログラマ8名によって構成されていた。

1.2 成果物の不備の状況
1.2.1 不具合の発見

AP及びインターフェースの単体テストが完了し、それぞれの結合テストの段階になったとき、APからDBへ問い合わせをしても応答時間が異常に長くなったり、処理を中断してしまうなどの不具合が連続的に発生した。

1.2.2 前任者の対処と赴任直前の状況

 私の前任者である工程管理者は、顧客のクレームに迅速に対応するために、原因究明を行わず、APに問題があると判断しパッチをはめるなどの対処的問題解決を行った。

 この結果、顧客は当社の対応に不信感をもつようになった、また、AP開発要員を順次投入したため、新規要員の教育上の問題やドキュメント不備の問題が発生した。

2 問題点の調査と対策の実施
2.1 問題点の調査
2.1.1 問題解決組織の確立

 問題のあるAP及びシステムの特性は、安定したDBMS基盤上に存在する点にある。すなわち、DBMSとAPとの間に立つインターフェースの品質がシステムそのものに与える影響は大きいと考えた。

 そこで、APとインターフェースの連携の重要性を顧客に認識してもらい、この問題を解決するための問題解決委員会の共同開催を提案し受け入れられた。

2.1.2 原因究明

 抜本的な原因究明を実施するために再度DBMSの仕様を当社と顧客企業に公開した。そのうえで、チェックリストを作成し、DBMS仕様書とインターフェース及び各APの準拠性を机上でウォークスルー方式を使い相互検証を進めていった。

2.2 原因究明結果とその是正
2.2.1 原因究明結果

 DBMS仕様書とインターフェース設計書及びAP概要設計書との相互の比較を行うことによって次のことが判明した。

  • 1.インターフェース設計段階で、ユーザがDBMS仕様を読み違えている点があり、機能的不備と欠落が存在することが発見された
  • 2.AP側に軽度のバグは2箇所存在することが分かった。
  • 3.ソフトウェア全体の不具合の原因は、これらが相互作用して影響を与えていることが判明した。
2.2.2 是正対策

(1)品質管理体制  顧客と当社側の品質管理担当者が、週1度、話し合いの場を持ち、品質に影響を与える問題について話し合うと共に、DBMS仕様に関する情報提供や開発上の留意点について当社側から情報提供を行える仕組みをつくった。

(2)不具合の是正について  当社の不具合については、1週間以内に修正、テストする計画をサブリーダに提出させ実行させた。  顧客側の不具合については、当社クレーム対策用を顧客企業の了解を得て派遣し、顧客側の修正作業を応援し、作業を加速させた。

(3)顧客との信頼関係回復について  顧客との信頼関係回復のため、私は、今後の作業計画とスケジュール計画の見直し結果を作成し提出・説明した。また、今回の原因分析報告書を作成し、なぜ、今回のような問題が発生したのかについて顧客に説明し理解を得た。

2.2.3 予防対策

 今回のようなケースは二度とあってはならない。このため、次のような予防対策を実施し、チーム内に周知徹底させた。

  • 1.顧客に当社商品を提供する場合は、必ずDBMS仕様書に基づいて、説明し、顧客が誤らないように教育を実施してから開発を行う
  • 2.情報システム開発にPDS(Plan Do See)のライフサイクルを作り、ドキュメント管理を徹底させつつ、製品の作りこみを行う
  • 3.顧客クレーム体制の確立:ISO9000の要求事項を満たすように、顧客クレームに対するマニュアルを整備し、手順と方法を徹底させた。また、顧客からの重度と判断されるクレームが発生した場合、速やかにプロジェクトマネージャは報告を上司にするような体制を確立した。
3 評価と改善
3.1 評価
3.1.1 手続きの妥当性

 私はISO9000に基づく社内規定に基づいてクレーム対処を実施した。この結果は社内監査でも妥当と認められている。

3.1.2 顧客満足

 前任者は2週間にわたって顧客クレームに対処した。この後を受けて、私は1週間以内に問題点を発見し、即座に顧客と相談しつつ対処施策を提案したため、赴任10日目にすでに問題解決の目鼻はついた。また、是正対策によるプログラム修正は14日かかった。しかし、DBMSに準拠したシステムが構築できたため、最終カットオーバには間に合わせることが出来た。

3.2 改善

 今回は、前任者が、社内のクレーム対処マニュアルを無視して勝手に行動した結果発生した事件である。このようなことが二度とないように、 プロジェクト管理者は、社内品質マニュアルや手続きをよく理解して周知徹底することが顧客満足につながると考えている。

以上

(c)(有)アイ・リンク・コンサルタント 加藤忠宏



投稿者 kato : 2005年9月 5日 00:08